医療?健康

新規要介護認定者を心身機能パターンで五つに分類し、予後を明らかに

研究イメージ画像
(Image by metamorworks/Shutterstock)
 介護保険サービスを利用し始めた65歳以上の新規要介護認定者を、心身機能のパターンによって五つの集団に分類し、各集団の特徴や予後を明らかにしました。要介護者本人やケア関係者が要介護者の特徴を意識し、集団ごとに最適な医療?介護サービスの検証と提供につながる成果です。

 要介護高齢者は複数の障害を抱えていることが多く、その組み合わせも多様なため、単一の障害に焦点を当てた介入には限界があることが指摘されています。適切な介入の検討には、あらかじめ要介護高齢者の複合的な心身機能の状態を把握しておくことが求められます。

 本研究では、日本の2市(茨城県つくば市、千葉県柏市)で新たに介護保険サービスを利用し始めた65歳以上の人(新規要介護認定者)を対象に、介護認定調査に記載された心身機能などの情報から、教師なし機械学習の手法を用いて対象者を分類しました。さらに、その分類(機能サブタイプ)と予後(死亡、入院、介護施設入所、介護度悪化)との関連を検討しました。

 まず、つくば市のデータから、五つの機能サブタイプ(i. 軽度身体タイプ、ii. 軽度認知タイプ、iii. 中等度身体タイプ、iv. 中等度複合タイプ、v. 重度複合タイプ)が同定されました。柏市のデータでもその分類が再現できました。予後については、軽度身体タイプと比べ、重度複合タイプは特に死亡と介護施設入所のリスクが高いこと、中等度身体タイプは入院のリスクが高いこと、中等度複合タイプは介護度悪化のリスクが高いことが示されました。

 本研究の成果は、要介護者本人やそのケアに関わる関係者にとって、療養方針の検討に役立つと考えられます。今後、機能サブタイプごとに、どのような医療?介護サービスが最適なのかを研究することで、サービスの質と効率の向上につながることが期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

中国福利彩票,中国福彩官网医学医療系/ヘルスサービス開発研究センター
田宮 菜奈子 教授

掲載論文

【題名】
Subtypes of Older Adults Starting Long-Term Care in Japan: Application of Latent Class Analysis
(日本の介護保険サービスの利用を開始した高齢者のサブタイプ:潜在クラス分析の適用)
【掲載誌】
Journal of the American Medical Directors Association
【DOI】
10.1016/j.jamda.2025.105589.

関連リンク

医学医療系
ヘルスサービス開発研究センター